京都は観るところが多く、何回行っても見飽きない所ですよね。金閣寺や清水寺、平安神宮、北野天満宮等々の神社仏閣はもちろん、四季それぞれの趣があり、心落ち着く風流な景色。誰もが行きたいと思うところです。皆さんも有名なところはほとんど行ったことがあるでしょうが、大江能楽堂や吉田神楽町は御存知ない方が多いのではないでしょうか。
2月の日曜日に、所属している建築士会で近畿建築祭という催しがあり、京都府が担当していくつかの見学コースを設定してくれました。その中のひとつに京都大学・神楽岡をハイクするコースがあったので参加しました。
朝10時に京都市役所の西にある大江能楽堂に参加者全員が集まり、式典の前に舞囃子(マイバヤシ)「高砂」を観賞しました。もちろん能楽堂で能を見るのは初めてです。踊り手(シテ)が8代目の大江信之氏で地謡3人の内2人はその兄弟です。それと笛に小鼓、大鼓、太鼓という布陣でした。
能を見たあと観世流能楽師7世の大江又三郎氏が基調講演として「大江能楽堂百年の歩み」と題して、能や建物について話をしてくれました。まさしく芸術、文化、伝統が感じられるひとときでした。能のことが分からない私は、ただただ恐れ入る、という気持ちでした。
式典の後、11のブロックに分かれて、それぞれ京都見学に行きました。我々は、総勢11名で「京都大学・神楽岡」コースに出発しました。タクシーで左京区の京都大学本学部へ行って学内を散策して食堂(というよりしゃれたレストランという感じ)で昼食を取ってから吉田神社へ行きました。この神社は2月の節分の日に節分祭があり大変賑わうそうです。また、京都での「四方参り」の1ヶ所がここ吉田神社ということです。あとの3つは、壬生寺、伏見稲荷神社、北野天満宮です。吉田神社は、標高105.1mの吉田山の西の裾野にあり、吉田山自体は京都大学と銀閣寺の間にあり、こんもりとした森、といったところです。

さて吉田山に登って行くと頂上に宗忠神社があり、そこから哲学の道の方向を見ると真正面に大文字山の大の字が見えました。春の桜の頃は、絶景といえるほどの景観になるのではないでしょうか。山から東の方へ降りて行く途中に吉田神楽町の家並みが見えてきました。ここは、大正から昭和初期にかけて、谷川茂次郎(谷川茂庵、裏千家老分)が吉田山の東へ下ル中腹斜面に借家として造営した家屋群(谷川住宅)があるのです。何でも京都大学の教授の為の借家にという目的もあったようです。
この領域(斜面)は、谷(哲学の道や白川通り)を挟んで1kmほどの先に向き合う大文字山が良く見えるところです。住居と路地の組み合わせには、路地に対して東に家屋が配置され、各家屋の2階部分に大きく開けられた窓から大文字の風景が独占できるようになっているのです。また石段、石垣、通路の組合せが丁寧に処理されているせいか今日でも当時のまま時間が止まってしまったかのような不思議な空間を構成していました。頂上近くの喫茶店『茂庵』も風流な茶室を髣髴とさせるような建物でした。