毎日一定の時間になると自発的にオリから出て集団散歩をして、またオリに帰るキングペンギンの団体。観客の頭上3~4mの木の橋を渡るレッサーパンダ。白クマの泳ぐのを一枚のガラス越しに見る迫力。同じくガラスのすぐ向こうに寝そべるライオン。見ているガラスをたたいて威嚇するチンパンジー。
こんなに身近に動物が見られる施設が今迄あっただろうか。それも動物が自然の姿でいじけていない。生き生きとした様子を見られるのだ。見学に来た人が満足して帰る動物園。それが旭山動物園です。

5,6年前には見学客も少なく日本の最北にあるこの動物園は廃園の浮き目にあっていたそうです。
そこに赴任してきたのが小管正夫氏です。小管園長は大改革を断行したのです。
それは動物を動物らしく生き生きと毎日を生活させる、ということではなかったのでしょうか。動物をできるだけ自然に生活できる環境を作り、それを人間ができるだけ近くで見られるようにする。まるで動物が人間を見て楽しんでいるかのような状況を作り出す。というような感すらするのです。そんな考えられないような事を小管園長は考え出し、実行したのです。「素晴しい」の一語に尽きます。
その集客力たるや、すごいものがあります。私が行ったのはたまたま連休中だったので特に多かったのかも知れませんが、札幌から特急電車で1時間20分で旭川市(北海道で2番目に人口が多い都市で36万人足らず)。そこからバスで40分のところにある旭山公園の一角にあるのです。遠いなぁ、と思いました。しかしそんなに遠い、にもかかわらず最近は大人気のツアーの一つにあげられています。
札幌から旭川までの特急指定席を予約しようと思いましたが、全て満杯でした。しょうがなく1時間20分間立って旭川迄行きました。駅に着いてバス停はどこだ?と捜しましたがすぐわかりました。何故なら――行列があったのです。気がついて並んだけれど前には100m程の列。待つこと40分、11台目の臨時バスにやっとこさ乗れましたが、また立ったまま40分。8時に札幌発の特急に乗り旭山動物園に着いたのは開演時間の10時30分でした。

11時からペンギンの「園内散歩」と聞いていたので早速そこに向かいましたが、その通行路の両側には、早くも人の群れ。まるで東京マラソンの沿道の観衆状況でした。待つこと20分、ようやくペンギンが前を通りかかりました。人と人の間から見るペンギンのヨチヨチ歩きは、思わず微笑んでしまうほどのほのぼのとして、可愛く、おもしろいものでした。歩いては立ち止まり、羽をバタつかせたり、脇の下を口ばしでつっついたり、こけたり、となりのペンギンにちょっかいを出したり、と見る者をあきさせない仕草でした。大人気の秘密がわかるような気がしました。
白クマは、オリの中を行ったりきたりして、落ち着かない様子でしたが、もう時間がない帰らなければ、と思った時にザボンッと水の中に飛び込んでくれました。そしてガラス越しにその泳ぐ勇姿を見せてくれたのでした。あー満足。という気がしたものです。
小管園長に表敬訪問をして記念撮影も御一緒してもらいましたが、当日は晴れていて、暖かくてよかったですね、と言われました、が当日の10時半の気温は-7.5℃。バス停で待っている時は、ダイヤモンドダストまで見えた、という冷え込みでした。さすが日本最低気温(確か-41℃ぐらい)を記録した旭川ですよね。
こんな遠くの、言わば僻地に、大勢の観光客を集客する旭山動物園。動物をひたすら愛する心がこの結果につながったのでしょうが、「恐るべき集客力だなぁ」とつくづく感じ入りました。敬服。札幌の雪まつりに勝るとも劣らず、という旭山動物園でした。
